書籍「しのびよるネオ階級社会」 日本は教育格差により、イギリス社会のように社会階級が固定化してくる

書籍「しのびよるネオ階級社会」(2005、平凡社)

本書はほぼ10年前に出版された書で、著者のイギリスでの滞在経験をもとに書き下ろされたものである。著者は、出版時点での日本の現実をイギリス社会と重ね合わせ、日本社会でも社会階級が固定化してきているのではないかとの考察を加えている。この新たに階級制度が固定化されつつある社会を称して「ネオ階級社会」と呼んでいる。ネオとは新たな、新しいという意味である。

イギリスにおいては、上流階級、中産階級、労働者階級と大きく階級が分かれているが、この階級をひとつ登るのに数世代を要すると言われている。多少の例外はあるにしろ、どの階級の子供として生まれたかによって、教育から仕事、賃金、生活まで全てが決定されてしまうことになる。特に、階級をかけ登るために必要な教育が受けられないということは、上の階級へ登るための門戸が閉ざされているに等しいということである。

本書が出版された当時にはすでに、日本でもフリーターや非正規雇用で働かなければならなくなる人が増え始めた。日本は、イギリスと違って本人の努力次第で、学業の自由や職業の自由が保証された国ではあるが、「ゆとり教育」以降、学校が終わってから塾に通わなければ大学受験に必要な実力が身につかないということもあり、裕福な家庭の子供が良い大学に進み、良い就職を得、逆に教育投資ができない家庭の子供は高等教育への門戸が閉ざされるといった傾向が見え始めている。

教育とは、個人の勉強の仕方とやる気といってしまえばそれまでとなるが、不十分な教育しか施せない「ゆとり教育」のもとでこの傾向が強まってきたということである。ある調査によると、「ゆとり教育」のもとでは、高校生の7割、中学生の5割、小学生の3割が授業内容を理解できていないとの結果もでているようである。つまり、

教育格差が階級格差を保持する原因!
高等教育にはお金が必要!

ということで、日本でも子供がどの家庭に生まれるかで、生まれた時から格差が生じてくる社会が到来してくる、いや、もうすでに到来しているということである。

近年、日本でも教育の問題が取り上げられることが多くなり、民主党の授業料無料化などの案もあったが(スウェーデンでは無料)、これは実現には至っていない。


著者はこれから日本で起こってくる状況について次のように記している。

フリーター階層が固定化される。

 義務教育段階から私立校に通うエリート層
 公立校の、ごく一部の秀才組
 公立校の「その他大勢組」

次世代の日本人 ネオ三分岐システム
 経済グローバル化に対応できるエリート
 専門分野に特化したスペシャリスト
 低賃金で雇える労働者

エンプロイメント・アット・ウイル方式
 経営を支える社員は少数精鋭で、あとは必要な人員を必要なだけ揃える、企業にとっては理想的な方式


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