プロメーテウスが人類にもたらした炎は目に見えない原子力の火へと変化し、日本人は炎を直に見なくなった


                        プロメーテウス(Wikipedia)より
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人類は火が使えるようになったので文明を築き上げることができた。人類の長い歴史において、火ほど人類に恩恵を与え続けたものはない。そして、その火は目に見える火、目の前で揺らめく炎であった。

日本でも、50年くらい前にはまだ揺らめく炎が家庭を暖かくしていた。家族は火鉢のなかでいこる炭火に集まり会話を交わした。ご飯はかまどで薪を燃料として炊いた。風呂を沸かすのも薪が燃料であった。かまどは主婦が、風呂炊きは子供が、というように、それぞれの役割分担もはっきりしていた。いまの60才を超える人はこのような直火、揺らめく炎と接しながら成長してきた。

しかし、最近はその事情が大きく変わっている。家族は自分の部屋に閉じこもりルームエアコンで思いの温度を設定する。ご飯は電気釜かガス釜のスイッチを入れさえすれば炊けるし、風呂も同様である。現代人は生の炎を見る機会がなくなった。タバコも嫌煙権の進展により嫌われ者となり、喫煙者は狭い禁煙ルームに押し込まれてしまった結果、禁煙者以外の人が生の炎を見ることはなくなった。

ギリシャ神話はプロメーテウスが人類に火(炎)をもたらしたことに感謝しているが、現代人はプロメーテウスがもたらした炎である火のありがたみを忘れ去ってしまったと思われる。炎である火を家庭生活において管理しようと思えば、その火を燃やし続けるのに炭や薪を連続して供給しなければならないので人手がかかった。その分、人は毎日火のありがた味を認識できたわけである。スイッチをひねるだけで、後は何もしなくても自動的に目的を達成してくれる目に見えない現代の火。少しありがたみの認識が失われていたのではないだろうか。

大切なものを失ったときに、初めてそれが大切であったことがわかる。当たり前が当たり前でなくなったとき、人は何が大切であるかを考え始める。原子力の火も大切ではあるが、もう一度、文明の原点を見直す意味も込めて、目に見える火(炎)とは何かについて考えるときが来ているように思う。



プロメーテウス(Wikipedia)より

ゼウスは人類から火を取り上げたが、プロメーテウスはヘーパイストスの作業場の炉の中にトウシンソウを入れて点火し、それを地上に持って来て人類に「火」を渡した。火を使えるようになった人類は、そこから生まれる文明をも手に入れることになった。


      

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