書籍「ゆとり教育世代の恐怖」 褒められて育ったので叱責に弱い 「精神レベル」が低い?と言われているが

書籍「ゆとり教育世代の恐怖」 柘植智幸 (2008、PHPペーパーバックス)


文部科学省が「ゆとり教育」で目指したものは、そのホームページより明らかである。

「これからの時代に求められる学力とは?」(文部科学省)
 知識・技能に加え、学ぶ意欲や、自分で課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力など。

すなわち、文部科学省は、これからの日本人の備えるべき学力として、
    学力 = 知識 + 思考・判断力
が育つような教育を教育現場に求めた。私は、この文部科学省の要求が決して誤っているものであるとは思っていないし、むしろその通りであると思っている。ただし、それを実現するための具体的方法にかなりの無理があり、現在の状況となっているのであろうことは想像に難くない。すごしゴールを急ぎすぎたという感は否めない。


最近はコンピュータ科学が進歩して、コンピュータのパフォーマンスを上げるために人間をもっと知ろうとする動きや、逆にパフォーマンスが高いコンピュータの動きから人間の生産性を向上させる研究などが行われているご時世である。この見地からすると、まず、コンピュータはその大きなメモリー能力により膨大な知識をそのシステムの中に蓄えることができる。そして、条件判断IF~Then~ループを駆使すれば、あたかも人間が行い得るような高度な論理判断を瞬時に実施し得ることになる。文部科学省の言う知識はコンピュータのデータベースに相当し、同じく思考・判断力はコンピュータの条件判断ループに相当するわけである。

文部科学省の思惑通りに事が運べば、秀才ぞろいの日本が誕生するはずであったが、現実はそうはなっていない。そうもなりそうもない。むしろ事態は思惑とは逆に進んでいる。この原因としては種々の原因が挙げられると思うが、

・事業時間3割削減の中で、現場教師ができない子供のフォローに注力し、全体としてのレベル低下をきたした。
・「絶対評価」という名のもとにほとんどの子供が「できる子供」と判断され、甘やかし教育が常態化していった。
・低位で満足してしまった?ためか、探究心や好奇心を育てることに失敗し、深く掘り下げ学ぶ意欲が低下した。
・叱られると自分を否定されたとモチベーションが下がり、コントロールができなくなる傾向が見られる。
・生徒集めを目的に、学校に「リッツ・カールトン化」が進み、ますますこの傾向が強まっている。


一方、実社会においては、アメリカ市場原理が導入され、「強いことは良いこと」「儲けが多いほど良い会社」「儲けを生み出す社員は良い社員」の掛け声の下、実力主義人事制度の導入とそれに伴う人事考課がなされている。生ぬるい天国の教育現場から、一気にサメがうようよいる大海に放り込まれるわけである。

上で述べたコンピュータのような人間を育てても、このアメリカ市場原理のなかではうまくは生きていけないだろう。人間には意思や精神力がある。私は何をどうしたいのか?「想定外の問題」に直面したときに、どのように考えてどう実行するのか?これである。これがなければ物事は前に進まない。


紹介の書には次の興味深い一文があった。これからの、職場のあり方と日本社会の方向性を示しているような気がして、ヒントを与えられた気がした。

楽しく、カッコいい職場を作ればよい。バーチャルRPG(ロール・プレイング・ゲーム)の主人公になってもらうのだ。

この方法で行けば、「想定外の出来事」に出くわしても前向きに考える気が起こるだろう。いや、今の若者はむしろ書籍・文献を調査し、自分の頭で考えて、この難極をクリアし、次のステージに進もうとするであろう。また、ゲームであるから自分で自分の実力は十分に分かっているので、会社での自分の成績にも納得でき、明日はもっと素晴らしいスコアを得ようと戦略・戦術を弄することになり、そこに成長の芽が芽生えるものと期待できる。


補足として、海外の教育は基本的には「褒めて育てる教育」である。褒めて強みを強化していく教育である。日本の教育の褒め方と海外の教育における褒め方が同質のものであるかの検証が必要であると考えている。


      

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この記事へのコメント

村石太レディ&博士
2012年02月01日 09:59
教育スタイルを 変える時期というか。学校教育に 夢 未来があるのだろうか
知識を得る喜び。知識への好奇心。~。子供から 大人まで 趣味 娯楽 知識
エリートだった人の 思考回路というか。趣きの違い。読書の違い~興味の違い
学校教育研究会(名前検討中

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