空気中の水分を飲料水にしようという中国青年のトンデモ発明は、新たな発想によりこの日本でその完成を見た

水のない場所で、手品のように空気から水が取り出せたら、とそんな夢のような話を一度は考えたことはないだろうか。そのような方法があれば、乾燥地方に住む人にとっては朗報である。井戸が枯れてしまったために、子供が数キロメートルの道を往復してたった瓶一杯の水を得ている姿がテレビで放送されることがあるが、こんな苦労を取り除いてやれる可能性がある。

この空気から水を取り出すという発想を実現したと報じた、私が目にした一番最初のニュースは中国からのニュース1である。このニュースは結構大きく取り上げられたので覚えていらっしゃる方も多いと思う。だが待てよ、とじっくりと考えてみると、どうもこれはルームエアコンの室外機に似ている。いや、間違いなく室外機だ。知ってか知らずか、新聞記者が見事に騙されたということになる。科学で言えばトンデモ科学に属するかもしれないが、もし、これを特許として出願すれば、経験の浅い特許審査官であれば見事に騙して特許権を取得することができるかもしれない。いや、中国のことだから、と偏見を持ってしまうと中国国民からの出願は全て特許にしてしまえば好都合となる。と私の悪い心は考えてしまうわけである。

さて、時が流れ今回発見したのがニュース2である。こちらは、化学物質の水を吸収する性質を利用して乾燥した空気からでも水を取り出すことができるとしている。用いられる化合物の塩化カルシウムには潮解性があり、水を吸収して水溶液となる性質がある。この性質をうまく利用したものだ。塩化カルシウムの性質については多くの人が知っていたと思うが、それを空気中の水分の取り出しに使おうと発想した人は今までいなかったようである。特許の要件は新規性(いままで誰もやっていない)と進歩性(その道のプロが容易に思いつかないこと)であるが、もし前例がないであれば、この出願は十分に特許として成立し得る。

中国青年の発明は従来より知られたエアコンの室外機を見方を変えたところに意義があるが、空気中の水分を液化できることは誰しも知っていたので特許性はない。それに比べて今回の東大阪の例では、化学物質の潮解性をうまく利用して、それを水回収装置にまで仕上げたところに特許性がある。CaCL2+2H2O→CaCL2・2H2Oと結晶水を取るところからこの潮解現象が始まる。これは一種の化学反応であり、この結合力は強いものなので、中国の青年の発明と比較して、より空気中の水分が少ない場合でも、空気から水分が取り出せる可能性がある。

このような「コロンブスの卵」的発明は生活シーンのあちらこちらに発明の種が転がっていると思う。発明として完成したものを見れば「あたりまえ」ということになるかもしれないが、この「単純」で「あたりまえの発明」ほど、生活に、産業に役立つ場合が多い。



ニュース1

2007年9月24日、重慶市の大学生が発明した空気を原料に水を作り出す「製水機」が公開された。電源さえあれば水分が含まれている空気を原料に一日20リットルの飲み水を作り出すことができるという。

発明者の金国勇(ジン・グオヨン)さんによると、構造は冷却コンプレッサーに直径1cmの銅管が取り付けられ、銅管を通る空気が温度差により管の内部に水滴を作り出す。
水滴を集めて浄化すれば飲用にできるという。
冷却した空気は内部に設置した冷蔵庫に送り込むため、作った水を保冷できるし、食品の保存にも使える。冷気を外部に排出すれば、エアコンとしても使える。

水不足に悩む中国にとってはまさに 「一挙三得」の発明、と今後の実用化に早くも期待が寄せられている。

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ニュース2

河北新聞社 1月21日
空気から水作る装置開発 東大阪の町工場、除湿剤で

空気中に含まれる水分を集めて飲料水を作る装置の金属製の皿部分(濤和化学提供)
 空気から水を―。町工場が多く集まる大阪府東大阪市の薬品メーカー濤和化学が、空気中に含まれる水分を集めて飲料水を作る装置を開発した。
 同社によると、砂漠のような湿度が低い場所でも使用可能。「災害時の飲料水や砂漠の緑化、農業用水に利用できる。水源をめぐる紛争をなくせるかも」としており、国際特許を出願した。
 装置は、除湿剤や凍結防止剤、食品添加物として使われ、空気中の水分を吸収する「潮解性」という性質がある塩化カルシウムを、金属製の皿の中で風を当てながらゆっくりかき混ぜる。すると徐々に空気中の水分を吸って水溶液となるので、加熱、蒸留して水を取り出す仕組み。

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(参考) 塩化カルシウム(Wikipedia)

塩化カルシウム(えんかカルシウム、塩カル、calcium chloride)は、化学式 CaCl2 で示されるカルシウムの塩化物。CAS登録番号は10043-52-4。式量は110.98。2水和物、4水和物、6水和物として存在する。

除湿剤、融雪剤、豆腐用凝固剤、食品添加物などに使用される。水に溶けやすく (82.8 g/100 g)、水溶液の凝固点が低くなる(凝固点降下)。この性質を利用して、スケートリンクの冷媒として飽和水溶液を用いる。



道路に設けられた塩化カルシウムの貯蔵容器

日本国内では、晩秋になると、積雪に備え道路の各所(主に橋梁、急勾配、急カーブ)に塩化カルシウムを入れた容器が配備される。積雪や凍結などで路面が危険な状態にならないよう、通行者が自主的に撒布することができるようになっている。その際の適正な使用量は、道路の状況にもよるが1平方メートルあたり約30g(一握り)~100グラム程度で、撒きすぎないように注意しなければならない。

また、道路やグラウンドなどで土ぼこりの発生防止用としても使われる。この場合は、1平方メートルあたり500~1500グラム程度を用いる。水に溶けるときは発熱する。

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