中国 模倣品大国から知財大国へ戦略転換 外資企業で高まる訴訟リスク すでに日本企業の敗訴例も!

本記事の出所(メインソース)は週間ダイヤモンド1月21日号である。


記事からの引用

中国は2009年10月に特許法を改正した。この特許法は、日本で言えば特許法、実用新案法、意匠法に相当する。2010年の実績として、この3者がほぼ同数ずつ出願され、その合計は122万件となっている。これを、2015年には特許75万件、実用新案90万件、意匠85万件の合計で250万件の出願まで伸ばしたいとの考えである。

中国政府は審査手続きの強化を狙って、2015年までに審査官を現状の5500人から9000人へと増員する。地方政府によってメニューが異なるが、出願費用の大部分を補助していたり、出願の見返りとして「ハイテク企業減税」措置が受けられたりするという。

中国が知財に目覚めたことで、外資企業に新たな脅威が訪れている。知財関連の訴訟件数が10年には5785件に上った。外資企業が中国企業に訴えられ、富士化水のように高額賠償(約6億円)に至るケースも含まれている。

厄介なのは、審査官の能力にばらつきがあったり、実用新案、意匠が無審査で登録されたりするため、保護すべき高度なレベルに達していない技術・製品までもが認可対象になっている点だ。これでは、平凡な製品を作る中国企業でも、知財を楯に取って訴訟を起こしかねない。外資企業への訴訟リスクは高まる。
                                                    引用終わり


少し、引用が長くなったが、中国が国内で自国の特許を多く成立させる戦略に切り替えたとのニュースである。欧米や日本の企業は、特許出願に際して、特許になる可能性のある、ある一定のレベルを保った出願をする。出願にあたっては前例を調査し、明らかに知られている技術については、特許出願を諦める。

といっても、日本でも時たまトンデモ特許に出くわす。これは、従来から知られている当たり前の事柄が、少し見方を変えてクレームされていたりする特許で、その本質は従来からある技術と何ら変わらないものである。たとえばパラメータ特許と言われるようなものであり、プロセス特許と言われるようなものである。このような技術が特許として一旦認められてしまうと、その特許を無効にするのに大きな労力をつぎ込むことが必要となるし、無効にできない場合もある。

週刊ダイヤモンドの引用からすると、中国国内より出願される特許は玉石混合と言いながら、既存の技術がそのままに近い形で出願されるケースも考えられる。もしこのようなものが特許として成立したときには、外資系企業にとって大きな障害となることは間違いない。これは、ズバリ、中国版プロパテントと言えるかもしれない。中国政府が合法であると言えばそれまでである。外資系の企業にできるのは、特許が成立する前に、その特許が無効である旨の情報提供をすることくらいである。

さて、富士化水の場合には、中国で発電所に技術提供した酸化硫黄除去プロセスが、中国の特許に抵触すると訴えられた。中国の特許裁判は二審制であるが、結局敗訴して6億円の賠償金を求められた。この技術自体は、当業者にとってしごく当たり前の技術であって、よもやそんなもので、と訴えられたときに富士化水はビックリしたのではないだろうか?最近、海外から日本に出願されてくる特許でも、これが特許になれば、その内容が当たり前すぎるだけに、多くの企業がすでに稼働させているプロセスで業を営むことができなくなるという内容のものが少なくない。このような特許は海外では比較的容易に特許として成立する場合もあるが、日本の審査は私が見ている限り一番厳しく、拒絶されるケースが多いようである。

さて、富士化水は訴えを受けてから、この技術は従来から知られていた旨の多くの証拠を中国の裁判所に提出したが、結局はその方法で硫黄酸化物を処理するための具体的な運転条件が、その証拠資料中には記されていないということで、敗訴することになった。中国という国のカントリーリスクに、特許訴訟を受ける可能性も加えなければならない時代となった。特に、中国は2009年位より国内景気に陰りが見ええ始め、今はヨーロッパの財政問題に端を発する世界的な景気低迷の影響をもろに受けている。中国が国内産業を保護する政策に向かうためには、知財戦略は非常に重宝な武器となり得る。中国に進出する企業は、中国国内の特許出願を精査し、気になる特許が見出されたならば、それに対処する方法を講じなければならなくなった。



富士化水関連情報


問題となった中国の発明特許明細書 曝気法海水排煙脱硫方法及び一種類の曝気装置

発明特許説明図

中国人民共和国国家知識産権局特許再審委員会 無効宣告請求審査決定書

武漢晶源の専利発明権侵害事件

中国企業に技術を提供した日本企業が負うべき責任(排煙脱硫装置事件)

中国特許権侵害訴訟の傾向と分析 ~中国企業に狙われる外国企業~


         

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この記事へのコメント

ぐーちゃん
2012年02月05日 16:55
富士化水の件。当たり前のことが特許になっているのではない。
この特許は、排ガスを浄化した後の排水に空気を吹き込むとガス浄化率が高くなるというもので、いわゆる「トンデモ特許」。
特許は富士化水のHPにも掲載されている。

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