ニセ科学は人心を魅了して止まないが、その科学的確からしさを保証する証拠は希薄である

マイナスイオンの効果を信じられるのか? このマイナスイオンを利用した製品は、空気浄化に良いとされ2000~2002年に大ヒットしました。そして、今でもこれを利用した製品は市販され続けています。前のブログその前のブログでも記したように、私の調査能力では、その素晴らしい効果を発見するに至りませんでした。一方、この両ブログにコメントを書いてくださいましたssfs様はこの技術とその効果を深く理解し、賞賛されています。私とssfs様の違いがどこにあるのか、同じ事象を見ているのに(と私は思っていますが)、これだけ見え方が違うということは私にとって興味深いことです。といって、その理由を知るための議論をしても、そこには無限に続く平行線があるだけのような気もします。

そこで、一度ここで、科学に対する私の考え方、マイナスイオンに対する私の疑問点を記し、この議論をしばらくの間、封印したいと考えました。私の頭の中では、精神世界と物質世界を分けて考えたいのですが、世の中で起こる事象や事件は、その二者が複雑に絡まり合っているようです。分かるということは、まずは分けるということですから、精神世界と物質世界を分けることからこの議論を始めなければならないでしょう。引用した図は超能力とオカルトの二軸での分類ですが、精神世界(人心を魅了する魅力)と物質世界(科学的確からしさ)の二軸で分ける方法も考えられると思います。そのとき、マイナスイオンは人心は捉えますが、科学的確からしさにおいては黄信号が灯るのではないかと、今の私は思っています。

画像

http://astro.edu.nagasaki-u.ac.jp/~masa/lecture/pseudoscience/MNagashima_pseudoscience110826.pdf


何を信じて何を信じないかは人それぞれですが、一度何かを信じてしまったらそこから抜け出せないというのが、人間の宿命です。当然、このことは私にも当てはまります。小さな存在である人間にできることは、これか正しいと思うものの上に次の一歩を踏み出すことです。どちらの方向に踏み出してよいかは、ケースバイケースとなりますが、良いと判断した方向を選択します。人生は選択の連続です。その結果としての現在があります。

私はなにも、今世の中で信じられていること、そして信じられていないことが全てその通りであるとは思っていません。
間違いなしと信じられていたことが間違いであったり、間違いと信じられていたことが正しかったりすることはよくあることです。証明が必要とされ、その効果が数値で確認できる科学ですら、そんなことが往々にして起こります。ましてや、科学+人間、いや、科学×人間の組み合わせの世界ではそのようなことは日常茶飯事となります。そして、これが人間だけの世界ともなりますと、個人×個人、個人×集団、集団×集団と、現実社会は間違いの連続です。特に集団になりますと、集団を構成する個々人の考えていることと、集団としての結論が真逆であるというようなことも起こり得ます。本音と建前の世界の難しさが原因であったり、集団心理で結論を誤ることもあります。

でも、人間の素晴らしいところは、もし間違いを起こしたとしても、同じ間違いを二度としないようにと数百年間は肝に銘ずるところです。ただし、300年(100年?)もすると、その失敗が忘れ去られてしまい、再び似たようなことをすることになります。これが人間の宿命、伝承の限界と言ってもよいかもしれません。

一度信じてしまったら、そこから抜け出せない。ただし、何かのきっかけがあれば、その間違いに気付かせられることがよくあります。場合によっては、自分の主張が正しかったことが世界に認められることもあります。何を信じて生きるかはなかなか難しいことですが、何かを信じて生きなければ、人生はあっという間に過ぎてしまいます。

Ssfsさんも、2005年以降、マイナスイオンの研究をなさっているようです。互いの認識をひとつずつ検証しながら、階段を登るように認識を深めていくことができれば、どこかのゴールに到達できるか、到達できないにしてもその近くまで歩み寄ることができ、ゴールがぼんやりとその輪郭を現すことになります。同じ土壌、同じ前提の上に次のステップに歩を進め、新たな認識をしていくということです。でなければ、会話が成り立ちません。単に、そうだ、いやちがう、の水掛け論に終わることになります。これはどんな分野であっても同じことです。

一番厳しい状況は、神を信じるかどうかという議論でしょう。「私は神を信じます」 なぜ、あなたは神の存在を信じられないのですか? これは無限の平行線上にある議論です。精神の世界ではどちらの意見も正しいということになるのかもしれません。しかし、科学の世界では、データが全ての根拠となります。このデータをして、そうであるか、そうでないかを語らしめるということです。

習破離、わたしはこれは大切な言葉だと思っています。今まで人類が築き上げた叡智は貴重です。多くの人々によってその裏付けが取られ、その確からしさが保証されたものです。それを知らずして時を過ごすのは損をした気になります。その上に、破があり、離があるのです。私はそのように思っています。



その上で、次のssfs様のご意見より、私が学んだことをここに書き記しておきたいと思います。ご質問にズバリお答えしているということではなくて、わたしが感じたり考えたりした事柄です。

まず、その前提となるssfs様の記述は次のとおりです。

マイナスイオンとは何か?

このサイトからの引用です。ここに示された文献に多くの知見(培われた叡智)が示されています。

マイナスイオンにはこのようにさまざまな特徴がありますが、「ニセ科学」を批判する大学教授らは、詳細な調査や丹念な分析をせず、実態に合わない主張をしています(例:資料1資料2資料3資料4資料5)。また、ウィキペディアにあるマイナスイオンの項目は偏見に満ちているうえ間違いだらけなので、決して鵜呑みにしてはいけません。

2006年の東京都の報告書がしばしばマイナスイオン商品のあやしさを科学的に検証した証拠として挙げられますが、きわめてマイナーな商品を対象にしており、そもそもマイナスイオンの発生すら疑われています。マイナスイオン商品全般に拡大解釈しないよう、報告書の表紙でわざわざ断っています。


このブログのssfs様のコメント
科学に似て科学でないもの これを人は疑似科学、あるいは似非科学と呼ぶ その正体は何か?

このブログのssfs様のコメント
まだマイナスイオンの効果が信じられないでいるこの私は、疑りぶかいのか?理解力が不足しているのか?



私が感じたこと、考えたこと

データを持って効果を語っているか? 例えばイオンクラスターはラボ実験器ではデータを取っているが、実機(市販品)を用いてデータを取得しているか? このデータがないとするとその理由は何か?

マイナスイオンは体に良いと言うが、その一方でマイナスイオンは細菌やウイルスを殺すとある。同じ生き物である人間には良くて微生物に悪いというのは、どうりが通るのか?

マイナスイオンは体によくて、プラスイオンは体に悪いと言われているようであるが、イオンクラスターでは両イオンを室内に放出する。プラスとマイナスの効果が相殺する場合と、プラスとマイナスが中和してしまって無に帰する場合が考えられるが?

マイナスイオンの殺菌作用は、同時に発生しているオゾンによるものではないのか?
発生するマイナスイオンの数(濃度)はアボガドロ数と比較して、きわめて小さなものである。

滝でマイナスイオンが発生する。滝の近くに行くと爽やかさを感じる。したがって、マイナスイオンが人に爽やかさを与えるという3段論法?はあっているか? 「滝の近くは温度が一定で人肌に心地よく」、あるいは、「滝の近くに鬱蒼と生い茂る木々の形は独特で、その緑は人の心に安らぎを与え」、あるいは「滝音の1/fの調べは人の心を爽快にし」など、マイナスイオンでなくてもこの3段論法は成立するのでは?

血液型性格判断、マイナスイオン、水らの伝言、ホメオパシー、ゲルマニウムブレスレット、EM菌などなど、は皆が良いと言っているというが、その皆とはいったい誰なのか? なぜこれが信じられないのかと詰め寄られることもあるが、これでは上で示した神を信じるかの問題と同じ心の問題に帰結してしまう。

これは体にいいですよと言われるからいいような気がする。いわゆるプラシーボ効果が主ではないのか?二重盲検法によるデータ取得が求められる。

上記文献2よりの引用

  専門家が使わない表現   ~は絶対にありえない

  専門家の言い方       言いたいこと           一般の受け止め方

  ~は否定できない。     多分ないと思ったほうが。    やっぱ、あるんや!
  ~はほとんどない。     絶対にないんだよ。        やっぱ、あるんや!
  確率的には極めて低い   起こるわけないんだ。      やっぱ、起きるんや!

  人民大衆は小さな嘘には騙されないが、大きな嘘には騙される。

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この記事へのコメント

ssfs
2012年01月21日 01:32
私はマイナスイオン関連技術を賞賛しているのではなく、どんな情報があるかを手広く調べているだけです。マイナスイオンに関する過大な期待や宣伝は厳しくチェックしています。本当に否定的な材料があれば大変面白いのですが、いまだに出会ったことがありません。

マイナスイオンを語るのに、精神世界と物質世界を持ち出すいわれはありません。伝右さんの対応は、数多くの事実を突き付けられても自分が受け入れたくないことは見なかったことにする「確証バイアス」の典型例に見えます。ヤフー知恵ノートでダメ出しをした長崎大や京都女子大の資料を無批判に引用しているからです。

科学的な研究が進んでいるマイナスイオンを、わざわざそうでないようなものとして扱うのは科学的ではありません。自分の情報不足から間違った判断をしかけていることにそろそろ気づいてもいい頃かと思います。

外国に目を転じましょう。グーグルスカラーで「negative air ion」をキーワードに検索すると、まとまった数の学術論文がヒットします。著者の傾向は(1)大気中のイオン量を観測し、エアロゾルの成因を追求する欧州の大気科学者(2)薬物を用いないうつ病治療にマイナスイオンの応用を模索する米国の医学者(3)都市域や室内の空気浄化でマイナスイオンの効果を実証しつつある中国の工学者――と大きく3タイプに分けられます。

こうした真面目な科学者の活動に目を向けずに、マイナスイオンを単純にニセ科学扱いするのは「ニセモノのニセ科学批判」のそしりを免れないでしょう。

ちょうどニセ科学日報のトップにこのエントリが掲載されました。
http://paper.li/Mochimasa/1307797868/2012/01/20
ニセ科学問題に関心がある人々が私のコメントを読み、考えを改めるきっかけになればよいと思います。
2012年01月21日 06:57
ssfs様
コメントありがとうございます。ニセ科学日報を確認いたしました。
http://paper.li/Mochimasa/1307797868/2012/01/20
このサイトを運営する会社の主旨および仕事は以下の通り記されていました。
ところで、「ニセ科学問題に関心がある人々が私のコメントを読み、考えを改めるきっかけになればよいと思います。」とあるのですが、このサイトを開いていくと、ssfs様のコメントが記されているということでしょうか?


A (very) short introduction

Paper.li is a content curation service. It enables people to publish newspapers based on topics they like and treat their readers to fresh news, daily.

以下省略


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以下省略

ssfs
2012年02月04日 01:08
マイナスイオンに関する認識を改める気配が見られないので、そろそろ「マイナスイオン」監視室で、「残念なブログ」の1つに取り上げようと考えています。もし見直すところがあるならば、週内に善処ください。

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  • レイバン メガネ

    Excerpt: ニセ科学は人心を魅了して止まないが、その科学的確からしさを保証する証拠は希薄である 伝右の日記・日々考えること感じること/ウェブリブログ Weblog: レイバン メガネ racked: 2013-07-03 17:32
  • モンクレール lucie

    Excerpt: ニセ科学は人心を魅了して止まないが、その科学的確からしさを保証する証拠は希薄である 伝右の日記・日々考えること感じること/ウェブリブログ Weblog: モンクレール lucie racked: 2013-11-28 10:04