ナトリウムー硫黄蓄電池(NAS電池)で火災発生 その原因は不明 しばらく使用停止要請 その影響は?

NAS電池はナトリウム(化学記号Na)と硫黄(化学記号S)の反応を利用して大容量の電力を蓄える蓄電池だ。起電力は2ボルト。蓄電池技術の現状と取組についてはこちらに詳しく示されている。この中にNAS電池の写真も示されているが、私たちのイメージするような電池ではなく、ひとつの大きなプラントと考えたほうがよい。

画像


同じ資料に使用例が記されている。

画像


今回、このNAS電池より火災が発生した。ナトリウムは水と触れると水素を発生し、その水素に引火すると火災となる。また、硫黄も萌えやすく亜硫酸ガスを発生しながら燃焼する。問題はなぜこの火災が起こったがわからないらしく、その原因がはっきりするまではNAS電池の使用を控えるようにと、NAS電池のメーカーである日本ガイシが要求している。

大容量電力貯蔵の要ともいえるこの蓄電池がしばらく使えないとなると、その影響は広範囲に広がるものと考えられる。

原理や使用実績などはこちらも参照のこと。




財経新聞 10月25日

日本ガイシ、NAS電池の使用停止を要請 火災事故の原因究明に時間かかる

 日本ガイシは25日、9月21日に三菱マテリアル筑波製作所(茨城県常総市)で発生した同社製NAS(ナトリウム硫黄)電池の火災事故に関して、原因究明と再発防止策の確立までに時間がかかっており、「なにより安全対策を最優先し、念のため既設のNAS電池につきましてはお客様での運転の停止をお願いする」(同社)とし、同社製のNAS電池の使用停止を要請すると発表した。

 NAS電池は、同社が世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システム。大容量・高エネルギー密度を特長とし、電力負荷平準によるピークカット、再生可能エネルギーの安定化に役立ち、節電対策やエネルギーコスト削減、環境負荷低減に貢献している。

 同社が今回、同社製NAS電池の使用停止を要請したことで、電力各社に大きな負担がかかることが予想される。



日本ガイシのホームページより

NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システムです。大容量、高エネルギー密度、長寿命を特長とし、鉛電池の約3分の1のコンパクトサイズで、長期にわたって安定した電力供給が可能。電力負荷平準によるピークカット、再生可能エネルギーの安定化に役立ち、節電対策やエネルギーコスト削減、環境負荷低減に貢献します。

NAS電池は、負極(マイナス極)にナトリウム(Na)、正極(プラス極)に硫黄(S)、両電極を隔てる電解質にファインセラミックスを用いて、硫黄とナトリウムイオンの化学反応で充放電を繰り返す蓄電池(二次電池)です。

昼夜間などの電力需要の格差を解決する手段としてナトリウム硫黄電池の原理に着目した東京電力と共同で研究開発しました。



ナトリウム・硫黄電池(Wikipedia)

ナトリウム・硫黄電池とは、負極にナトリウムを、正極に硫黄を、電解質にβ-アルミナを利用した高温作動型二次電池である。NAS電池(なすでんち)またはNAS(なす)とも呼ばれる。特に大規模の電力貯蔵用に作られ、昼夜の負荷平準などに用いられる。ちなみにNAS電池あるいはNASは東京電力の登録商標である。


電池反応

ナトリウム・硫黄電池は、活物質であるナトリウムや硫黄を溶融状態に保ち、β-アルミナ電解質のイオン伝導性を高めるために高温(約300[1]~350℃[2])で運転される。負極の溶融ナトリウムは、β-アルミナとの界面でNa+に酸化され電解質を通って正極に移動する。正極ではNa+が硫黄によって還元されて五硫化ナトリウム(Na2S5)となる。電池反応(放電反応)は次の通り。

  負極: 2Na → 2Na+ + 2e-
  正極: 5S + 2Na+ + 2e- → Na2S5
  全反応: 2Na + 5S → Na2S5

放電初期では上記の反応が進行するが、放電が進行して未反応の硫黄がすべて消費されると、Na2S5は次第に、より高い原子価の硫黄の組成(Na2Sx, x=2~5)の多硫化物に転化していき、やがて二硫化ナトリウム(Na2S2)となる。

長所

従来の鉛蓄電池に比べて体積・重量が3分の1程度とコンパクトなため、揚水発電と同様の機能を都市部などの需要地の近辺に設置できる。また出力変動の大きな風力発電・太陽光発電と組み合わせ出力を安定化させたり、需要家に設置して、割安な夜間電力の利用とともに、停電時の非常時電源を兼用できる。また構成材料が資源的に豊富かつ長寿命[1]、自己放電が少ない[1]、充放電の効率も高い[2][1]、量産によるコストダウンも期待できる[1]などの長所を併せ持つ。

短所・課題等

常温では動作しないため、ヒーターによる加熱と放電時の発熱を用いて、作動温度域(300℃程度[1])に温度を維持する必要がある。充放電特性が比較的長い時間率(6~7時間[1])で設計されている。また現状では、一定期間内に満充電リセットの必要がある[1]。

事故

2010年2月15日午前7時40分ごろ、日本ガイシが製造し、高岳製作所小山工場に設置されたNAS電池で火災が発生した[3]。

2011年9月21日午前7時20分ごろ、日本ガイシが製造し、三菱マテリアル筑波製作所に設置されたNAS電池で火災が発生した[4]。


         

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

驚いた 驚いた

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック