中国新幹線に関する特許考 日本の特許戦略の誤りを如実に物語る事例として歴史に留められることになるか?

特許出願が重要なのは言を待たない。しかし、日本の会社の考え方は、欧米へは特許は出願するが、中国に特許を出願しても、中国企業はそれを無視して製品を作るので意味がない。あるいは、中国にわざわざノウハウを教えてやるようなものだから、中国に特許を出願するなどはもっての外だ、となる場合が多い。

川崎重工業の新幹線技術についてもこのような考えがあったのだろうか? あるいは、日本の技術者自身が日本では「あたりまえ」と思っている技術をあえて中国が特許出願したということか? 技術者にとって一番怖いのは、どこでも使われている当たり前の技術が間違って特許となったときに、それが当たり前であるが故にその特許技術を使用することなく製品が作れなくなるということである。このようなことは私の経験でもたまに起こり、その特許を回避するために大きなエネルギーやコストが必要となる場合が多い。中国の特許が成立した場合、本家本元である川崎重工業自身が、この中国特許に係争するために新幹線車両が作れなくなるなどは言語道断! 第三者からみればまさにマンガである。

この事態を回避するためには、まず、川崎重工業と中国の当事者企業との間で秘密保持契約が結ばれていること。この契約の中には、一般的には秘密保持以前に両者がもっている技術の取り扱い方と、契約後に生まれた技術の取り扱い方が明記されているものである。中国はこの秘密保持契約をも反故にしたということか?

新幹線車両は形あるものであるから、その技術が図面などとして、あるいは新幹線車両そのものとしてすでに日本で公開されていれば、その技術に酷似した技術は特許される可能性が小さくなる。日本の新幹線技術は歴史が長いので公開されている可能性が強い。もし不幸にして、川崎重工業が秘匿している技術があったとすれば、その技術を特許として出願してしまった中国の出願特許は、特許として認められる可能性が大きくなる。

今回のような問題を起こさないためには、日本企業は中国は真似をするから、などと言わずに、中国国内に特許を出しておくべきである。中国に特許を出願しないまでも、日本国内に特許出願はしておくべきである。そうすることにより、この出願特許が前例となり、中国の出願特許は特許要件(新規性)を満たさないとして特許になることはない。

中国に新幹線技術を提供したドイツは、関連するする特許を出願していたそうである。今の時代、よほどのノウハウを含む技術でない限りその権利保持が難かしい。この世の中で頼れるは特許だけということになる。中国が真似をするから特許を出さないという考え方はもはや通用しなくなった。



SankeiBiz 7月9日

「中国高速鉄道は独自技術」 日本の批判に反論、特許申請を継続

 中国が高速鉄道技術を侵害したとの日本の批判に対して、中国鉄道省はこうした指摘を受け入れず、自国の技術革新に関する特許申請の権利を放棄しない方針を明らかにした。中国国営新華社通信が伝えた。

 中国政府は、中国の高速鉄道に使われた技術が、2004年に川崎重工から移転されたものよりも優れていると考えている。新華社通信によれば、王報道官は「北京-上海高速鉄道と日本の新幹線を同列に論じることはできない」と指摘。中国の高速鉄道に使われている技術の多くが新幹線を上回るものだとの見方を示した。

 チャイナ・デーリーによれば、高速鉄道網に使われたテクノロジーについて1900件以上が特許登録出願され、481件が審査されているという。



人民網 7月4日

中国高速鉄道(3)海外特許申請は訴えられるか?

 日本のメディアは最近、中国の高速鉄道の知的財産権に疑問を呈し、日本の新幹線の「パクリ」だとの見方を示している。事実はどうなのだろうか。関係者を取材すると次のような回答が返ってきた。

 焦点その3:中国高速鉄道の海外での特許申請は訴えられる可能性があるだろうか

 回答:中国企業が海外で特許を申請するのは合理的であり合法的なことだ

 >>中国高速鉄道(1)日本の新幹線の「パクリ」?
 >>中国高速鉄道(2)技術の発展が速いのはなぜ?

 日本の「朝日新聞」の4日付報道によると、中国高速鉄道に技術を提供した川崎重工業株式会社の大橋忠晴会長は「(中国高速鉄道の国際的な特許申請の内容が)日本から提供した技術に抵触する状態にあれば、提訴しなくてはならない」と述べた。


      

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