高濃度放射性物質の浄化作業がうまくいっていないというが、東電は完全主義者になってはいないか?

理解ができないニュースである。ゼオライトで放射性物質を吸着しているが、その吸着能力が目標値に達しなかったので、放射能除去装置の運転予定が遅れるというものである。

この装置は高濃度放射能汚染水に含まれる放射性物質の濃度を大幅に低減し、放射性物質を取り除いた水は再び原子炉の冷却剤として利用しようというものである。素人考えでは少しでも放射性物質の濃度が下がればそれで目的は達成されたと考えるのだが専門家の考えはそうではないようだ。

いまゼオライトが詰まった筒を考える。たとえば家庭によくあるジュースの缶でよいが、そこにゼオライトという放射性物質をよくくっつける鉱物(実際は人工合成したもの)を詰める。そしてその片方から汚染水を通すと反対側から放射性物質が取り除かれてきれいになった水が出てくる。しかし、このジュース缶は無限に使えるわけではない。汚染水を通していくと中の鉱物にくっついた放射性物質の量(濃度)は次第に高くなり、いずれそれ以上の放射性物質を吸収できない状態となる。出口の水の放射性物質の濃度は次第に高くなっていき、遅かれ早かれ新しい吸着塔への切り替え時期が来る。

1回目の実験ではこの吸収できなくなるまでの時間がわずかに5時間であったと報じられた。原因は油分が予想よりも多かったとある。今回は、時間については報じられていないが、放射性物質それ自体の吸着除去に問題があり、思っていたよりも放射性物質を取り除けなかったとされている。最初に1000の濃度の放射性物質を1とする予定であったが、それが10にしかならなかったからダメというのである。しかし、1000のうちの999を取り除く予定が990しか取り除けなかったといっているわけで、素人の私からすればほとんどが取り除かれていると考えては良いのでは、と思ってしまう。

放射性物質が大部分取り除かれた浄化水は再び原子炉の冷却に回され高濃度放射性物質の汚染を受けるのであるから、1000のうちの99.9%の放射性物質を取り除かなくても、たとえば90%程度を取り除ければそれで十分に目的は達成していると考えるべきではないのか?

専門家は往々にして本来の目的を忘れ、その装置の完全性にこだわる。事業や仕事には本来の目的や目標があるが、それを忘れて目に見える部分だけで議論し大局を忘れることもよく起こる。

今回のニュースには十分な情報が盛り込まれていないが、この情報の中で感じるのは東電の完全主義? あるいは国を意識した完全主義者としてのポーズである。東電は、ゼオライト1トン当たりどのような放射性物質がどのような濃度で含まれる高濃度放射性物質汚染水を1時間当たり何トン処理できるか、そして何時間運転すればゼオライトの詰め替えが必要か、さらに使用済みのゼオライトはどのように保管するか、などを国民に分かる形で情報として出してほしい。そうすれば、国民も東電と国がやろうとしていることが理解でき、多少の安心ができるのだが。



中日新聞Web 6月23日

吸着装置は効果不足 汚染水浄化、再開遅れも

 福島第1原発の事故で、東京電力は22日、高濃度の放射能汚染水を浄化するシステムで、放射性物質の濃度が予定通り1万分の1以下に減ったという分析結果を発表した。ただ、システムのうち鉱物ゼオライトで放射性物質を吸着する米キュリオン社の装置では十分な効果が出ておらず、原因を調べる。週内を予定していた本格運転の再開はさらに遅れる可能性が出てきた。

 システムは(1)油を分離(2)鉱物ゼオライトで放射性物質を吸着(3)薬剤で放射性物質を沈殿(4)塩分の除去-の4段階で水を浄化する。

 分析結果によると、システム全体では1万分の1以下になっており、東電はほぼ目標の水準まで浄化できたと判断している。

 しかし、装置別にみると、放射性セシウムを1000分の1程度に低減できると見込んでいた2段階目のキュリオン社の装置では、100分の1程度にとどまっている。

 それでも、3段階目の仏アレバ社の装置がさらに100分の1以下に減らし、全体では放射性物質を検出できないレベルにまで低減されたという。

 システムは17日の運転開始後、相次ぐトラブルで停止している。試運転をした上で24日ごろの本格運転再開を目指していたが、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は22日の会見で「その日に再開できるか確約できない」と述べた。

 未処理の汚染水は、1750トンが浄化されて多少余裕のできた集中廃棄物処理施設に移送する。

 月末とされていた満水の時期は、7月上旬まで先延ばしできたという。


      




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