天変地異の大きさは正規分布ではなくベキ分布に従う ベキ分布は今日に言うロングテールである

4月23日の日本経済新聞記事「リスクと「ベキ分布」」の要点は次の通りだ。

リスクを適切に評価するには、対象となる現象を確率的な事象として考え、何らかの確率分布を「想定」する必要がある。想定外とはその想定に問題があったことである。

社会現象のリスクに関しては、「正規分布」では計り知れないと、フラクタルの創始者である数学者マンデルブローが警告を発し続けてきた。

自然・社会現象の中には「正規分布」では表せない、「ベキ分布」という確率分布に従う現象が多く、異常な現象が起きる確率は正規分布の場合よりはるかに高くなる。

株価や為替のレート変動、巨大地震や津波、洪水などがこの「ベキ分布」に従う。



こう言われてしまえば、確かに最近の地震、洪水、気象異常は従来の連続線上にはないような気がする。正規分布ではマグニチュード9.0の地震の起こる確率は小さく、めったに起こることはないようにも思われる。しかしその地震が実際に起こり、そして有史以前からの推定で、そんなに大きな津波が起こるはずもないと考えていたその津波が実際に起こってしまった。

私たちが確率を考えるとき、特に品質や事故が起こる確率を考えるときには、確かに記事が言うように正規分布で考える。一つの製品に対して、その出来栄えをある指標で表し、それが正規分布しているとして、製品の品質が3シグマに入る確率、すなわち、製品を1000個作るとそのうちの997個は合格品である確率を得るための生産条件を決めるのにも、この正規分布を用いる。また、最近では6シグマ(シックスシグマ)という言葉も現れ、これは、製品を百万個作った場合に、スペックアウトするものはたった1個であることを表している。

有史以前から現在に至るまで、日本を襲った地震の数は限りなく(天文学的に)多いものと思われる。この解析からは、マグニチュード9.0は到底想定できなかったのであろうが、しかしそれが現実に起こってしまった。

だが、いま、マンデルブロー(1924-2010)がはるか昔より、天災はベキ分布に従うと声を大にして叫んでいたことを知り、多くの災害に責任を持つ知者がこれを知っていたら、マグニチュード9.0も想定外でなかったかもしれない。この時には記事が言うように想定外などという言葉はあり得ないことになる。

ベキ分布、これは今はやりのロングテールではないか。ロングテールで攻められるとどんなに大きな災害が突如襲ってきたとしても、それは想定外ではないことになる。今や何が起こっても不思議ではないと思って災害に備えなければならなくなった。



こちらも参考になります。

Tech-on 4月25日

「想定外」を想定する?!正規分布によるリスク分析の限界

正規分布を仮定した統計手法は社会の様々なところで用いられています。しかし、現実には正規分布から導き出される確率よりも高い確率で、大きな事故や不良が起こってしまっていることを皆さんも実感されているのではないでしょうか。

 このような正規分布を前提としたリスク分析や確率計算では説明できない事象が実際の世の中ではかなりの頻度で起こってしまうことを、ナシーム・ニコラス・タレブが「ブラック・スワン」という著書で説明しています。従来は、白鳥というのはその名の通り、全て白いと思われていました。ところが、オーストラリア大陸には黒い白鳥(黒鳥)がいることがわかりました。これにより、白鳥は白いものだという鳥類学者の常識は覆りました。従来は確率的にありえないと思われていた事象が発生し、人々や社会に大きな影響を与えてしまうことがあるのです。また、絶対にあり得ないと思われていた事象も、いざ起こってから考えると、偶然起こったとは思えなくなるものです。



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