ノーベル化学賞に鈴木章さん(北海道大学名誉教授)と根岸栄一さん(パデュー大学教授)
日本人2名がノーベル化学賞を受賞した。快挙である。お二人とも一般にはあまり知られていないかもしれないが、有機化学において炭素と炭素を結びつける、いわゆるカップリング反応を開発したことで有名だ。とくに、鈴木章教授はホウ素を利用する鈴木カップリングにその名を残している。この反応が見出されてから、合成できる化合物の範囲が広がった。
鈴木教授は米国のパデュー大学に留学され、ホウ素の化学で高名をはせたH.C.ブラウンに師事したとのことである。この流れを発展させて今回の受賞となった。
根岸教授はその大学に在籍で、カップリング反応を行った(以下を参照)。
毎日jp 10月6日
ノーベル化学賞:鈴木章さん、根岸栄一さんら3人が受賞
スウェーデンの王立科学アカデミーは6日、10年のノーベル化学賞を、医薬品や工業製品の製造に欠かせない有機化合物の革新的な合成法を開発した鈴木章・北海道大名誉教授(80)、根岸栄一・米パデュー大教授ら3人に授与すると発表した。ノーベル賞の日本人受賞者は、米国籍の南部陽一郎氏を含め計18人、化学賞の受賞者は計7人になる。
鈴木章(Wikipedia)
パラジウム触媒を用いて有機ハロゲン化合物と有機ホウ素化合物を結びつける「鈴木・宮浦カップリング」を発見。抗がん剤やエイズ特効薬、液晶の製造に活用されるなど、有機合成化学や材料科学などの広い分野に大きな影響を与えた。
1959年、北海道大学大学院理学研究科化学専攻博士課程を修了。その後、理学部で2年半、工学部で32年半北大で勤務した。1963年から3年間、アメリカ・パデュー大学のハーバート・ブラウンのもとで有機ホウ素化合物の研究を行う。このときの経験が、後の鈴木・宮浦カップリングの発見につながった。
1994年3月に北大を停年退官した後は、北大名誉教授となった。その後岡山理科大学、倉敷芸術科学大学の教授となり研究を続けていた。2002年倉敷芸術科学大学を退官した。
※以下にクロスカップリングと出てくるのは、
AとBという2つの種類が違う化合物を科学的に結びつけるという意味です。
鈴木・宮浦カップリング(Wikipedia)
鈴木・宮浦カップリング(すずき・みやうら—、Suzuki-Miyaura coupling)は、パラジウム触媒と塩基などの求核種の作用により、有機ホウ素化合物とハロゲン化アリールとをクロスカップリングさせて非対称ビアリール(ビフェニル誘導体)を得る化学反応のことである。鈴木カップリング、鈴木・宮浦反応などとも呼ばれ、芳香族化合物の合成法としてしばしば用いられる反応の一つである。本研究の成果より、鈴木章が2010年のノーベル化学賞を受賞した。
根岸栄一教授
有機亜鉛・有機アルミニウム・有機ジルコニウム化合物を用いるクロスカップリング反応の開発
いずれも根岸クロスカップリングと呼ばれる人名反応として認知されており、現在でも世界中の合成化学者に広く使われる反応となっている。
根岸クロスカップリング
20:19 日本化学会より会員あてにメールが届きました。
【1】日本化学会からのお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本化学会 会員 各位
先ほど2010年のノーベル化学賞が発表され、本会会員を含む、以下の3名の方に
授与されました。
【受賞者】
Richard F. Heck氏(米Delaware大学名誉教授)
根岸英一氏(米Purdue大学教授)
鈴木 章氏(北海道大学名誉教授)
【受賞対象】
for palladium-catalyzed cross couplings in organic synthesis
(有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング反応に対して)
受賞者3名のうち、2名が日本人であり、この受賞は日本の基礎化学のレベルの
高さを示すものであります。
本会会員である根岸先生ならびに鈴木先生のご受賞を心よりお喜び申し上げます。
日本化学会 会長 岩澤 康裕
もう一人の受賞者
リチャード・ヘック(Wikipedia)
リチャード・フレッド・ヘック(英: Richard Fred Heck、1931年8月15日 - )は、アメリカ合衆国の化学者。デラウェア大学名誉教授。ヘック反応を開発した。2010年にノーベル化学賞受賞。
略歴 [編集]
マサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。1952年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒。1954年、同校博士課程修了(S・ウィンスタイン教授)、スイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)博士研究員(V・プレログ教授)。1956年、ハークレス・パウダー社研究員。1971年、デラウェア大学教授、1989年に退職。
受賞歴 [編集]
2006年 - アメリカ化学会ハーバートブラウン賞
2010年 - ノーベル化学賞(有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング)
※ ここにも鈴木章教授、根岸栄一教授が師事したハーバート・ブラウンの名がでてきます。
ヘック反応(Wikipedia)
ヘック反応(ヘックはんのう、Heck reaction)は、パラジウム錯体を触媒としてハロゲン化アリールまたはハロゲン化アルケニルでアルケンの水素を置換する反応である。
例えば、ヨードベンゼンをアクリル酸メチルと酢酸パラジウムを触媒として反応させると、アクリル酸メチルのβ位の水素がフェニル基で置換されてケイ皮酸メチルが生成する。
鈴木教授は米国のパデュー大学に留学され、ホウ素の化学で高名をはせたH.C.ブラウンに師事したとのことである。この流れを発展させて今回の受賞となった。
根岸教授はその大学に在籍で、カップリング反応を行った(以下を参照)。
毎日jp 10月6日
ノーベル化学賞:鈴木章さん、根岸栄一さんら3人が受賞
スウェーデンの王立科学アカデミーは6日、10年のノーベル化学賞を、医薬品や工業製品の製造に欠かせない有機化合物の革新的な合成法を開発した鈴木章・北海道大名誉教授(80)、根岸栄一・米パデュー大教授ら3人に授与すると発表した。ノーベル賞の日本人受賞者は、米国籍の南部陽一郎氏を含め計18人、化学賞の受賞者は計7人になる。
鈴木章(Wikipedia)
パラジウム触媒を用いて有機ハロゲン化合物と有機ホウ素化合物を結びつける「鈴木・宮浦カップリング」を発見。抗がん剤やエイズ特効薬、液晶の製造に活用されるなど、有機合成化学や材料科学などの広い分野に大きな影響を与えた。
1959年、北海道大学大学院理学研究科化学専攻博士課程を修了。その後、理学部で2年半、工学部で32年半北大で勤務した。1963年から3年間、アメリカ・パデュー大学のハーバート・ブラウンのもとで有機ホウ素化合物の研究を行う。このときの経験が、後の鈴木・宮浦カップリングの発見につながった。
1994年3月に北大を停年退官した後は、北大名誉教授となった。その後岡山理科大学、倉敷芸術科学大学の教授となり研究を続けていた。2002年倉敷芸術科学大学を退官した。
※以下にクロスカップリングと出てくるのは、
AとBという2つの種類が違う化合物を科学的に結びつけるという意味です。
鈴木・宮浦カップリング(Wikipedia)
鈴木・宮浦カップリング(すずき・みやうら—、Suzuki-Miyaura coupling)は、パラジウム触媒と塩基などの求核種の作用により、有機ホウ素化合物とハロゲン化アリールとをクロスカップリングさせて非対称ビアリール(ビフェニル誘導体)を得る化学反応のことである。鈴木カップリング、鈴木・宮浦反応などとも呼ばれ、芳香族化合物の合成法としてしばしば用いられる反応の一つである。本研究の成果より、鈴木章が2010年のノーベル化学賞を受賞した。
根岸栄一教授
有機亜鉛・有機アルミニウム・有機ジルコニウム化合物を用いるクロスカップリング反応の開発
いずれも根岸クロスカップリングと呼ばれる人名反応として認知されており、現在でも世界中の合成化学者に広く使われる反応となっている。
根岸クロスカップリング
20:19 日本化学会より会員あてにメールが届きました。
【1】日本化学会からのお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本化学会 会員 各位
先ほど2010年のノーベル化学賞が発表され、本会会員を含む、以下の3名の方に
授与されました。
【受賞者】
Richard F. Heck氏(米Delaware大学名誉教授)
根岸英一氏(米Purdue大学教授)
鈴木 章氏(北海道大学名誉教授)
【受賞対象】
for palladium-catalyzed cross couplings in organic synthesis
(有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング反応に対して)
受賞者3名のうち、2名が日本人であり、この受賞は日本の基礎化学のレベルの
高さを示すものであります。
本会会員である根岸先生ならびに鈴木先生のご受賞を心よりお喜び申し上げます。
日本化学会 会長 岩澤 康裕
もう一人の受賞者
リチャード・ヘック(Wikipedia)
リチャード・フレッド・ヘック(英: Richard Fred Heck、1931年8月15日 - )は、アメリカ合衆国の化学者。デラウェア大学名誉教授。ヘック反応を開発した。2010年にノーベル化学賞受賞。
略歴 [編集]
マサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。1952年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒。1954年、同校博士課程修了(S・ウィンスタイン教授)、スイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)博士研究員(V・プレログ教授)。1956年、ハークレス・パウダー社研究員。1971年、デラウェア大学教授、1989年に退職。
受賞歴 [編集]
2006年 - アメリカ化学会ハーバートブラウン賞
2010年 - ノーベル化学賞(有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング)
※ ここにも鈴木章教授、根岸栄一教授が師事したハーバート・ブラウンの名がでてきます。
ヘック反応(Wikipedia)
ヘック反応(ヘックはんのう、Heck reaction)は、パラジウム錯体を触媒としてハロゲン化アリールまたはハロゲン化アルケニルでアルケンの水素を置換する反応である。
例えば、ヨードベンゼンをアクリル酸メチルと酢酸パラジウムを触媒として反応させると、アクリル酸メチルのβ位の水素がフェニル基で置換されてケイ皮酸メチルが生成する。
この記事へのコメント
ノーベル賞 おめでとうございます。やりましたー