本年のノーベル物理学賞はグラフェンに カーボンナノチューブを追い越しての受賞が決定
本年のノーベル物理学賞はグラフェンが受賞した。炭素には、グラファイト、ダイヤモンド、そして無定形といわれる構造があることはよく知られるが、近年、これらの構造に加えて、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが話題に上ることが多くなった。
フラーレンの発見は、炭素原子が60こ集まってできたサッカーボールということで話題となり、その発見者は早々とノーベル賞を受賞した。コンピュータケミストリー(理論計算)を駆使してその存在を予言した大澤映二教授は残念ながらその栄光にあずかることはできなかった。
次に発見されたのがカーボンナノチューブであり、これは日本人が発見し、産業上の多くの利用が期待されている。発見者の飯島先生はノーベル賞に近いといわれながら、受賞はまだである。
グラフェンは、グラファイトの一層を取り出したものである。グラファイトは6角形の網の目状の炭素シートが規則正しく積層した化合物である。今回の物理学賞の受賞は、この積層したグラファイトの構造より、層を1層だけ取り出す方法を開発したことになる。2005年の製法の発見で2010年の受賞であるから、フラーレンをしのぐ異例の早さである。私としてはこの受賞の早さにはびっくりである。
なお、カーボンナノチューブはその発見から約20年を経過しているが、ノーベル賞はまだである。カーボンナノチューブの構造が、グラフェンが筒状となった構造である。
残すはカーボンナノチューブのノーベル賞のみとなった。本年受賞ののグラフェンと物性面で類似する部分もあるので、その予測は難しいところがある。
Asahi.com 10月6日
物理学賞「チャンス少し減ったかな」 飯島教授がっかり
物質 発見年 ノーベル受賞者など
フラーレン 1985年に発見 1996年に発見者のクロトーらにノーベル化学賞
カーボンナノチューブ 1991年に飯島澄男によって発見
グラフェン 2005年に製法の発見 2010年に発見者のガイムらにノーベル物理学賞
毎日jp 10月5日
ノーベル賞:英の2博士に 「グラフェン」開発 物理学
スウェーデンの王立科学アカデミーは5日、10年のノーベル物理学賞を、炭素の新素材「グラフェン」を開発した英マンチェスター大のアンドレ・ガイム教授(51)=オランダ国籍=とコンスタンチン・ノボセロフ教授(36)=英、ロシア国籍=に授与すると発表した。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億2700万円)を両氏が分け合う。
グラフェンは炭素が六角形につながったシート状の新素材で、厚みが原子1個分しかない。現在知られている素材の中で最も薄くて強く、銅と同程度の電気伝導性があり、熱伝導性も最も高い。
ガイム氏らは04年、炭素の蜂の巣構造が何層も重なり、鉛筆の芯の材料として使われている「グラファイト」(黒鉛)に粘着テープを張ってははがす作業を繰り返して薄片をはがし、原子1個の厚みの層(グラフェン)を分離することに成功した。グラファイトが層状構造であることは古くから知られていたが、誰も単層に分けることができなかった。
ごく薄い構造を持ったグラフェンは「驚異の物質」として、物理学や材料科学の分野で注目され、太陽電池や液晶ディスプレー、従来のシリコン製を上回る性能の半導体への応用が期待されている。
グラフェン(Wikipedia)
電気輸送、光学特性、スピン輸送、磁場効果、擬相対論の項目より成っている記事である。
カーボンナノチューブ(Wikipedia)
1991年、日本の飯島澄男(当時NEC筑波研究所。現NEC特別主席研究員、産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センターセンター長、名城大学大学院理工学研究科教授)によって、フラーレンを作っている途中にアーク放電した炭素電極の陰極側の堆積物中から初めてTEM(透過電子顕微鏡)によって発見された。記事はエレクトロニクス、構造材料などの項目より成っている。
飯島澄男(Wikipedia)
日本の物理学者および化学者。 文化功労者、日本学士院恩賜賞受賞者、文化勲章受賞者。
カーボンナノチューブの発見(1991年)と電子顕微鏡による構造決定の仕事にて、世界的に有名になった。金の原子がアメーバのように動く金超微粒子の“構造ゆらぎ”現象を発見(1984年)。ノーベル化学賞・物理学賞の有力候補とも見られている。
フラーレン(Wkipedia)
1985年に最初に発見されたのは、炭素原子60個で構成されるサッカーボール状の構造を持ったC60フラーレンである。この発見により、ハロルド・クロトー、リチャード・スモーリー、ロバート・カールは、1996年度のノーベル化学賞を受賞した。
C60フラーレンの発見は1985年であるが、それ以前に C60 構造の存在を予言していた学者がいる。豊橋技術科学大学の大澤映二は、1970年頃、ベンゼンが5つ集まって皿状になった「コランニュレン」という物質の構造がサッカーボールの一部と同じであることに気づいた。ここから、実際にサッカーボール状の C60 も存在しうると考え、考察の結果を邦文雑誌などに公表した。だが、これが掲載されたのは日本語の文献のみで、英語などでは発表していなかったため、欧米の科学者には知られることなく、ほぼ15年後に実在が確認される結果となった。
フラーレンの発見は、炭素原子が60こ集まってできたサッカーボールということで話題となり、その発見者は早々とノーベル賞を受賞した。コンピュータケミストリー(理論計算)を駆使してその存在を予言した大澤映二教授は残念ながらその栄光にあずかることはできなかった。
次に発見されたのがカーボンナノチューブであり、これは日本人が発見し、産業上の多くの利用が期待されている。発見者の飯島先生はノーベル賞に近いといわれながら、受賞はまだである。
グラフェンは、グラファイトの一層を取り出したものである。グラファイトは6角形の網の目状の炭素シートが規則正しく積層した化合物である。今回の物理学賞の受賞は、この積層したグラファイトの構造より、層を1層だけ取り出す方法を開発したことになる。2005年の製法の発見で2010年の受賞であるから、フラーレンをしのぐ異例の早さである。私としてはこの受賞の早さにはびっくりである。
なお、カーボンナノチューブはその発見から約20年を経過しているが、ノーベル賞はまだである。カーボンナノチューブの構造が、グラフェンが筒状となった構造である。
残すはカーボンナノチューブのノーベル賞のみとなった。本年受賞ののグラフェンと物性面で類似する部分もあるので、その予測は難しいところがある。
Asahi.com 10月6日
物理学賞「チャンス少し減ったかな」 飯島教授がっかり
物質 発見年 ノーベル受賞者など
フラーレン 1985年に発見 1996年に発見者のクロトーらにノーベル化学賞
カーボンナノチューブ 1991年に飯島澄男によって発見
グラフェン 2005年に製法の発見 2010年に発見者のガイムらにノーベル物理学賞
毎日jp 10月5日
ノーベル賞:英の2博士に 「グラフェン」開発 物理学
スウェーデンの王立科学アカデミーは5日、10年のノーベル物理学賞を、炭素の新素材「グラフェン」を開発した英マンチェスター大のアンドレ・ガイム教授(51)=オランダ国籍=とコンスタンチン・ノボセロフ教授(36)=英、ロシア国籍=に授与すると発表した。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億2700万円)を両氏が分け合う。
グラフェンは炭素が六角形につながったシート状の新素材で、厚みが原子1個分しかない。現在知られている素材の中で最も薄くて強く、銅と同程度の電気伝導性があり、熱伝導性も最も高い。
ガイム氏らは04年、炭素の蜂の巣構造が何層も重なり、鉛筆の芯の材料として使われている「グラファイト」(黒鉛)に粘着テープを張ってははがす作業を繰り返して薄片をはがし、原子1個の厚みの層(グラフェン)を分離することに成功した。グラファイトが層状構造であることは古くから知られていたが、誰も単層に分けることができなかった。
ごく薄い構造を持ったグラフェンは「驚異の物質」として、物理学や材料科学の分野で注目され、太陽電池や液晶ディスプレー、従来のシリコン製を上回る性能の半導体への応用が期待されている。
グラフェン(Wikipedia)
電気輸送、光学特性、スピン輸送、磁場効果、擬相対論の項目より成っている記事である。
カーボンナノチューブ(Wikipedia)
1991年、日本の飯島澄男(当時NEC筑波研究所。現NEC特別主席研究員、産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センターセンター長、名城大学大学院理工学研究科教授)によって、フラーレンを作っている途中にアーク放電した炭素電極の陰極側の堆積物中から初めてTEM(透過電子顕微鏡)によって発見された。記事はエレクトロニクス、構造材料などの項目より成っている。
飯島澄男(Wikipedia)
日本の物理学者および化学者。 文化功労者、日本学士院恩賜賞受賞者、文化勲章受賞者。
カーボンナノチューブの発見(1991年)と電子顕微鏡による構造決定の仕事にて、世界的に有名になった。金の原子がアメーバのように動く金超微粒子の“構造ゆらぎ”現象を発見(1984年)。ノーベル化学賞・物理学賞の有力候補とも見られている。
フラーレン(Wkipedia)
1985年に最初に発見されたのは、炭素原子60個で構成されるサッカーボール状の構造を持ったC60フラーレンである。この発見により、ハロルド・クロトー、リチャード・スモーリー、ロバート・カールは、1996年度のノーベル化学賞を受賞した。
C60フラーレンの発見は1985年であるが、それ以前に C60 構造の存在を予言していた学者がいる。豊橋技術科学大学の大澤映二は、1970年頃、ベンゼンが5つ集まって皿状になった「コランニュレン」という物質の構造がサッカーボールの一部と同じであることに気づいた。ここから、実際にサッカーボール状の C60 も存在しうると考え、考察の結果を邦文雑誌などに公表した。だが、これが掲載されたのは日本語の文献のみで、英語などでは発表していなかったため、欧米の科学者には知られることなく、ほぼ15年後に実在が確認される結果となった。
この記事へのコメント
このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。
ダイヤモンド理論が結構、反響を呼んでいるようですね。
ドイツ車のダウンサイジングの嵐も、結局ピストンピンにDLCだった。しかしこれは違う。潤滑システムを見直せと言っている。自分の担当の部品だけに固執して表面硬度
をガンガン上げて、相手材を破壊したり、循環システム全体にナノダイヤをまき散らすのは良くないといっているのだ。つまりドイツ方式の部分最適化ではなく全体でドイツを上回るエンジンを作れる展望を示しているのだと思う。
あり、ベアリング構造の産業インフラをナノ結晶へ置換し、摩擦損失を30%減らすというものだ。CCSCとかGICとかでてくるが詳くは、いかのURLの特殊鋼の論文を参照されたし。
http://www.hitachi-metals.co.jp/rad/pdf/2017/vol33_r03.pdf
「いい」「わるい」のメカニズムがグラファイトとダイヤモンドという真逆の物性を持った同素体でそのメカニズムが語られ、その判定もラマン分光で明瞭な判定ができるからです。