宇宙旅行が10万ドルで実現する

 前回は地球の重力圏を振り切って宇宙へ飛び出す方法を説明した。今回は、実際に宇宙に到達した民間宇宙船の成功の記録と、それを可能にした技術、その宇宙船を利用して宇宙を体験する場合の価格を記す。

スペースシップワンという名前を覚えておられるだろうか。2004年に宇宙飛行に成功したアメリカの民間宇宙船だ。6月に初飛行に成功し、続いて9月29日と10月4日の2回宇宙飛行に成功した。

 高度100km以上が宇宙と定義されている。スペースシップワンはこの高度をわずかに超える103~112kmを達成した。そして、2週間以内に3人乗り宇宙船で2度の宇宙飛行を最初に達成した宇宙船に与えられるアンサリXプライズの賞金1000万ドルを、この飛行によって勝ち取った。

 通常のロケットは、筒に火薬をつめた固体ロケット(打ち上げ花火を想像してもらえればよい)か、日本のH2ロケットのように液体水素と液体酸素を混合・燃焼させるタイプのどちらかである。スペースシップワンではハイブリッドエンジンが使用された。燃料にゴムを用い、このゴムに亜酸化窒素(N2O)を供給して燃焼させることにより推力を得ている。固体と液体を併用しているのでハイブリッドと呼ばれている。

 亜酸化窒素の分解で生じた酸素が燃焼に利用される。また分解時に大きな発熱があるので、これが推力を得るための助けとなっている(N2O → N2 + 0.5O2 + 発熱)。構造と燃焼のコントロールが共に簡単なため、機体が安価に製造できるところがポイントである。 
亜酸化窒素は別名では笑気と呼ばれ、麻酔ガスとして病院で使用されている。また近年、地球温暖化物質としても有名で、京都議定書で削減が義務付けられた化合物でもある。このケースのように、燃焼時の酸化剤として利用されるときには、亜酸化窒素とゴムが反応して、窒素と二酸化炭素および水が生じるだけであるので問題はなくなる。

 民間宇宙飛行は2008年より始まる。1200万円で宇宙にいける。あなたはこれを高いと思うだろうか?

キーワード:スペースシップワン ハイブリッドロケット 宇宙旅行 賞金獲得 亜酸化窒素(笑気)

Scaled Composites社のホームページより
http://www.scaled.com/projects/tierone/index.htm

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